教育関係者対象説明会参加レポート⑨ 県立不動岡高校
２０２５年６月１８日配信
伝統を基礎に「選ばれる学校」へ
6月7日、県立不動岡高校にて、教育関係者を対象とした学校説明会が開催されました。今回は塾関係者のほか、中学校の先生方も参加し、同校の教育活動や今後のビジョンについて耳を傾けていました。
冒頭、関根憲夫校長が不動岡高校の現状と将来への課題意識を率直に語りました。同校は130年以上の歴史を持つ伝統校ですが、校長は「伝統があるだけではこれからの時代を生き残れない」と強調。少子化や授業料無償化の流れなど、教育環境の大きな変化に直面する中で、「実績」と「広報」の両面を強化し、「選ばれる学校」としての存在価値を高めていく必要があると語りました。
こうした背景のもと、昨年度はホームページのリニューアルやSNSでの発信、塾関係者向け説明会、さらには中学1・2年生向けの学校説明会を新たに実施。特に1・2年生を対象とした説明会では、予想を上回る生徒・保護者が来校し、早期段階から高校選びを始める流れに手応えを感じたということです。
不動岡高校ではスクールポリシーとグランドデザインを教職員で共有し、日々の授業や学校行事に反映させる取り組みが進められています。今年度は、それを具体的にどう実現していくかが校長としての課題であると語りました。
不動岡高校の特色として挙げられるのは、探究活動とリベラルアーツ型教育の実践です。不動岡高校は、「解のない問いに挑む力」を育むため、文理融合のカリキュラムやグループ学習を展開。1年次ではSDGsの17目標からテーマを選び、グループで研究発表。2023年には「麦わらストローの製作」でみらい甲子園埼玉大会で賞を受賞しました。
2年次は、①地域課題研究、②異文化理解、③理数探究の3つからテーマを選び、個人またはグループで調査研究に取り組みます。3年次には「文学はうえた子どもに役立つか」「グローバル人材は本当に必要か」といった問いに対し、グループで討論し、個人で思考・表現することを通して、探究活動から学問の基礎となる教養へつなげていきます。単なる探究活動にとどまらず、大学教育にもつながる教養教育の一環として機能しているように感じられました。
グローバル教育にも力を入れており、フランス、ドイツ、オーストラリア、マレーシア・シンガポールへの研修を通じて、国際感覚を養うほか、国内では「ふくしま合宿」や「グローバル・スタディーズ・プログラム（国内英語研修）」などで、視野を広げています。
こうした多様な学びの結果、着実な進路実績もあげています。今年度は国公立大学合格者108名のほか、早慶上理74名、GMARCH 291名と私大への実績でも成果を出しています。進路実現のために3年生向けの夏期講習では40講座以上が開講され、のべ2000人を超える受講者がいるとのことです。個別大学対策や共通テスト対策講座のほか、1・2年生向け講座も一部期間で実施され、全てが無償で提供されています。
生活面では、朝6時半から学校が開放され、生徒は自習に励んでいるとのこと。一方で平日19時、土曜半日の日は17時完全下校と、メリハリを徹底しています。不動岡生は「真面目で実直、現実的」の生徒が多いとのことで、日々の積み重ねを大切にする姿勢がこのような進路実績に結びついているものと思います。
関根校長は、「伝統校といっても、我々はまだ発展途上」とお話をされ、その言葉が強く印象に残りました。「今やっていることが5年後、10年後の不動岡高校を形づくる。だからこそ、今、妥協せずに取り組んでいくことが大切だ」と、教職員にも呼びかけているとのことです。
卒業生の「不動岡高校は、何事にも全力で挑戦できる場所」「先生方が本気で向き合ってくれる」「海外研修や学校行事など、貴重な経験の宝庫」という声も紹介。単なる進学校ではなく、「人としての成長」を大切にした学びの場が、ここにはあるように感じました。（文・根岸孝之）
※このシリーズでは、教育関係者対象に開催された学校説明会についてレポートします（埼玉新聞社高校受験ナビ編集部）
＝「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事＝
サイト内の不動岡高校の基本情報は→こちら
学校の特徴～学校からのメッセージ２０２５～
令和4年度から、普通科と外国語科を統合し「特色ある普通科」として本校の教育課程が大きく変わりました。一例を挙げると、外国語科でしかできなかった「第2外国語」の授業を誰でも選択・履修可能になりました。また2023年度三菱みらい育成財団による助成対象に本校の「未来探究プログラム」が採択され、生徒の国際的視野・科学的素養を養うため、海外研修や野外実習など多くの課外活動や研修も実施されています。
関連記事
教育関係者対象説明会参加レポート
カテゴリー
よく読まれている記事
