埼玉新聞社 高校受験ナビ

教育関係者対象説明会参加レポート⑦県立小川高校

2025年6月13日配信

国際交流で視野を広げる

 6月5日、県立小川高等学校(黒澤拓也校長)で、塾関係者向けの学校説明会が開催されました。

 小川高校は令和10年度に創立100周年を迎える伝統校でありながら、時代の要請に応じた新たな教育モデルの構築に力を注いでいます。説明会では同校がビジョンとして掲げる「地域から世界へ」「地域から未来へ」の2つの軸に基づく教育の取り組みが紹介されました。

 

 

 「地域から世界へ」の柱では、国際交流を通じて生徒の視野を広げるグローバル教育に注力しています。小川高校は、文部科学省の「DXハイスクール」重点類型のうち「グローバル型」の指定を受けており、全国で11校、埼玉県では同校と伊奈学園総合高校のみという希少な指定校になっています。この指定を活かし、インドの高校と姉妹校提携をさらに発展させ、活発な国際交流を展開していきます。

 

 今年3月にはインドの姉妹校から生徒が来日し、小川高校の生徒宅でホームステイをしながら、日本文化や地域生活を体験。華道、茶道、うどん作りなどを通じた深い交流が行われました。さらに、7月には同校生徒13名がインドを訪問する予定であり、国際交流が単なるイベントにとどまらず、日常の学びとつながるよう教育課程にも組み込まれているとのことでした。インドの姉妹校をはじめ、さまざまな国の高校との交流も予定されており、「日常にある国際交流」の実現が進んでいます。

 

 一方で、「地域から未来へ」では、地元・小川町をフィールドとした探究活動「おがわ学」が中心的な教育活動として展開されています。中山間地域という特性をもつ小川町の課題を教材とし、少子高齢化や人口減少などの地域課題を生徒が主体的に探究。地域の資源や人々と協働しながら課題解決のアイデアを考えることで、社会に出たときに必要となる力を育むことを目指しています。この取り組みは、全国の同様の地域への応用も視野に入れられており、まさに「地域から日本、世界へ」とつながる学びとなっています。

 

 こうした探究的学びの成果は、3年次に実施されるアントレプレナーシップ(起業家精神)教育にもいかされています。生徒たちはグループで会社を立ち上げ、地域の道の駅や観光施設で販売する商品を企画。銀行への事業提案や実際の販売、さらには「株主総会」の実施までを経験します。これらはすべて、総合型選抜をはじめとする入試でも活用できる実践的な学びとして位置づけられています。

 このほかにも、小学生に英語や音楽を教えるALT体験や、高齢者の健康増進指導といった地域福祉活動など、地域とのつながりを深める教育活動が多数実施されています。町の活性化や教育力の向上が、将来的な定住促進といった広がりにつながっていくことに期待もあるようです。

 

 

 学習面では、ICTツール「Classi(クラッシー)」を活用し、生徒の学習記録や成績データをもとに、個別最適な学びと進路指導を行っています。入学時の学力分析から学期ごとの学習傾向までをつかみ、得意分野や苦手科目の変化を丁寧に捉えることで、大学受験対策にもつなげています。

 また、小川高校では平成24年度より選抜クラスを設置。2年次からは大学進学を見据えた専門的なカリキュラムに移行し、3年間クラス替えを行わず、学習習慣や進路意識の定着を図っています。今年度は学校説明会での丁寧な説明の成果もあり、選抜クラスの希望者が大幅に増加したとのことです。入学直後には「ステップアップセミナー」を実施し、大学生とのワークショップや調べ学習を通じて学ぶ姿勢を育むなど、進学に向けた意識づくりも丁寧に進めています。

 部活動では、陸上部やグローカルメディア部、少林寺拳法部が全国大会に出場するなど、学習以外の分野でも活躍が見られます。

 

 説明会を通じて感じたのは、従来の「教える」教育にとどまらず、「未来を生き抜く力を育む」ための実践的な学びを地域とともに築いているという姿勢です。小川高校は、100年という節目を迎えるにあたり、これからの社会で求められる力を育むための挑戦を続けているように感じました。(文・根岸孝之)

 

※このシリーズでは、教育関係者対象に開催された学校説明会についてレポートします(埼玉新聞社高校受験ナビ編集部)

 

=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=

 

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学校の特徴~学校からのメッセージ2025~

「駅から近い立地」小川町駅から徒歩3分です。自然豊かな山々や清流に囲まれ、集中して学べる環境が整っています。「おがわ学」小川町の地域資源を題材に探究的な学びを行っています。「進学選抜クラス」勉強合宿や夏期集中講座などを実施し、有名大学に挑戦するクラスがあります。「大きな図書館」校舎とは独立した図書館があり、約5万冊の蔵書を保有しています。最新の本も数多くあり、読みたい本のリクエストも受付けます。

 

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